IoT住宅とは?聞いたことあるけど何ができるのか?パナソニック様に聞いてきました。
「IoT住宅」という言葉をご存知ですか?
ここ2~3年で普及し始めてきていますが、具体的には「何ができるの?」「取り入れることで暮らしはどう変わるの?」という疑問もあるのではないでしょうか。
そこで、今後さらに普及していくであろう「IoT住宅」については、住宅に関わる者としてより深く理解しておく必要があるということで、パナソニック様に伺い色々と聞いてきました。
この記事では、その際のインタビューの様子をお伝えさせていただきます。
インタービューでは、愉くらしの家設計担当であるアトリエS.O.C一級建築士事務所の根来氏から、パナソニック株式会社千葉住建営業所柏営業課のIoT住宅担当課長に質問をさせていただきました。
これから住宅建築を予定されている方にとって「IoT住宅」の検討の一助になればと思います。
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質問1:Iot住宅とは何ですか?スマートハウスとIoT住宅の違いを教えて下さい
まず、IoT住宅とは何か?というところで、スマートハウスとIoT住宅のそれぞれの違いについて教えて下さい。
あまり明確な違いというのは決められていないのですが、弊社が考えているIoT住宅というのは、色々な設備機器がインターネットとつながることによって、より快適な暮らしを実現してくような住宅になります。
スマートハウスというのは、IoTの技術を基にして便利さだけでなく、例えば太陽光発電や蓄電池などを加えて、買ってくる電気代を減らして上手く暮らしをコントロールしていく環境に優しい住宅という位置付けになると考えています。
質問2:現在のIoT住宅ではどのようなことができますか?
IoT住宅の現在の取り巻く動きについて、IoT住宅は現在はどんなことができるのか?
例えば、製品・機器メーカーごとに規格や仕様が異なると思うのですが、その点に関して、業界ではどんな動きがあるのですか?
IoT住宅と言って一般のお客様が考えられるのはテレビや洗濯機など家電製品とつながるという点と、エコキュートや照明器具等、電気機器とつながるという点で「みんなつながるんだろうな」と言うふうにお考えになられていると思います。
ただしですね、実際に住宅設備や家電を成業するには2つの方式がございまして、一つが赤外線リモコン。テレビやエアコンなどの家電を制御するタイプと、エコキュートなどのリモコンのない設備機器を動かすタイプがあります。
これはエコーネットライトという規格を用いて、様々なメーカーの機器と繋がれるというタイプがございます。弊社のAiSEG(アイセグ)はエコーネットライトを基準として、エコキュートや照明器具、エアコンなどを制御しています。
そのメリットというのはお互いにエアコンの状況がわかる。例えばスマートフォンでエアコンの状況がわかるので、「今暖房が24℃でついている」とかがわかります。
一方で赤外線リモコン型は、外からリモコンで動かすというだけなので、「暖房をつけました」と言っても、本当についているのか?いま部屋の温度が何度かが分かりづらい部分がございますので、簡易的な物としては赤外線リモコン。本格的に使うとなるとエコーネットライト型という区分けになります。
質問3:IoT住宅によって人々の「暮らし方」はどのように変わりますか?未来図などがあれば教えて下さい。
IoT住宅で「暮らし方」がどう変わっていくのか?何ができるのか?IoTが実現する住宅の未来図などがあれば教えて下さい。
まだまだ先の話かなということろではありますが、将来的には「おはよう」と言った時に決まった動き方をするのではなく、同じ「おはよう」でも、生活パターンに合わせて自動的に動くようになると良いんだろうなというふうには思っていますけれど、まだちょっと先かなというところです。
質問4:コロナによって働き方が変わったことで、効率的な家事の共有をアピールしていたIoT住宅の方向性は変わりますか
最近コロナが流行して、働き方や生活が変わったことによって、IoT住宅の方向性は変わりますか? 今までのIoT住宅の見せ方としては、共働きの夫婦などがモデルケースとしてあり、共働きの中での家事の効率化などをアピールされてきていたが、それらが今後どんな風に変わっていくのか?
特に我々のような会社勤めの場合だと、極力在宅ワークが推奨されるというところもあり、家で過ごされる時間というのが増えていくんだろうなと。
人によっては家の中でスイッチを触ることに対してお気になされる方もいらっしゃいますので、そういったところで音声でコントロールする、自分の持っているスマホだったら安心ということでそれでコントロールするというはしばらく続いていくんだろうと思います。
そういったところの利便性というのもありますし、在宅ワークになってどんなことに困っているのかとなると、書斎など、自分が仕事する場所が必要なる点と昼間も家にいるために電気代が上がるという点。
そうなってきた時に太陽光発電や蓄電池があれば電気代を抑えられるので、ちょっとIoTとはズレてくる話では有りますが、IoT技術などを含めたトータルの提案が必要な時代だと思います。
質問5:長く住んでいる住宅で家電などの住設類を新しく買い替えた際に、規格が違うためにIoTが使えなくなるということは起こりますか?
建物の構造体の耐用年数と、住設類の耐用年数の違いについて。これから建物の耐用年数は長くなっていくと思いますが、家電などの住設類はそこまで長持ちしないと考えられます。
そうした時、バージョンアップしていくとか、そういったものの対応はどういうふうにできますか?
今の家電製品でも10年15年経って古くなったら交換するというようになっていると思います。そういった設備機器というのは、そのような形で交換していくということは間違いないです。
今回のIoTのベースになっているのが、エコーネットライトと呼ばれる通信をする規格、それに準拠さえしていれば機器側が変わったとしても、コントロール側が変わったとしても、機能自体は引き継いでいけると考えていますので、多少使い方に違いはでますが、あまり気にしなくても大丈夫です。
様々な設備機器とつながるとはいっているが、まだまだつながっていない機器というのは多くあります。今後は新しい機器の接続もできるようになるというのは考えられるので、どんどん世界が広がっていくような形になると思います。
ポイントはIoTという点で、「インターネットとつながっている」というのが大事なところです。車でも最近はテスラをはじめ、バージョンアップ方式となっていますが、我々の機器も同様に、ソフトウェアをバージョンアップしてより使い勝手を良くしたり、色々な物とつながるというようなことをしてまいりますので、そういったところは期待していただければと思います。
質問6:IoT技術は住宅購入の際の需要としてはそれほど高くないように思われますが、原因はどこにあるのでしょうか?
IoT住宅の需要についてお伺いしたいのですが、技術的にはすごく便利になったり、生活がすごく豊かになるということは、ショールームで見させていただいて理解はできるのですが、住宅を購入される方や建てる方のそのあたりの需要がまだそれほど高くない。希望される方が多くないように感じています。
そのあたりについての原因はどこにあるのかという所と、当然、その認知不足は供給する側、設計者や工務店の方、ビルダーであったりというところの認知度、認識が低いという点もあるでしょうし、何をどう組み合わせたらよい生活ができるのかなど、そういったことに関しての提示を供給側が行えないということが多々あるように思います。
この点に関するフォローというのは業務としてありますか?
確かに、「IoT住宅をやりたい」というふうにお施主から出てくることはあまりないと思います。というのは今の生活に基本的に満足されているというところがあると思います。
家を買われる時には、「もっと広い家に住みたい」「もっと気持ちのいい空間に住みたい」というのはあると思いますが、「エアコンをこういうふうにしたいから」「照明を外から点けられるようにしたい」からと住宅を買うわけではないと思いますので、やはりそういったニーズがなかなか出てこないのは確かだと思います。
ただ一方で、一回その便利さを知ってしまうとやめられないということろがあると思うんです。例えば、食器洗い乾燥機とか、温水洗浄便座、ドラム式洗濯機も然り。
なので例えば、「アパートでそんなものがありました」と(IoT機器を)一度経験された方が家を建てるときにはそういう機器が欲しいとなるように、徐々に徐々にIoT機器というのがベースとして広がっていく、今はその過渡期なんじゃないかなという気はしています。
もう一つが、普及を阻んでいた原因の一つが、今まではそういったものをやろうとした場合に、機器側がアダプターを付けなければいけないということが結構あった。
最近は、はじめから機器が内蔵されているケースが増えているので、そういった意味ではIoT導入の垣根はすごく下がっていますし、それで経験をしていく。そして「じゃあ、エアコン意外に照明もやりたい」とか、そんな形で増えていくんじゃないかなと考えています。
質問7:IoT技術を用いて地域社会などと連携して、社会の一部として住宅を使用することは今後考えていますか?
前々から私が思っていたことではあるのですが、IoT住宅とかそういったもので、住宅としての住環境は大変便利に住みやすくなっていって、生活しやすくなっていくと思うのですが、住宅単体と言いますか、そこの中では完結していくと思うんですけど、より社会とコネクトしていくような、そういうことって今後必須になってくると思うんです。
先ほっとおっしゃっていたテスラとかも、「Mobility as a Service」車を売るのではなくて、車を使ったサービスを売るというようなところに自動車業界も転換していってるし、住宅の方もそういうところになっていくのかなと思うんですけども、そのあたりっていうのは・・・
いろんなデータを使っていくとか、社会的にどう使うかっていうところも当然出てくるでしょうし、なんとなく住宅1戸で終わるのではなく、社会とコネクトして住宅としてどう使っていくかというところが、逆の感じになってくると思うのですが、そのあたりってはどうでしょうか?
今のお話を聞いてパッと思いつくのは、住宅がというよりは個々のエネルギーというような観点でいくと、本当に今後ますます個々の家に太陽光発電が載る家っていうのは増えていくと思います。
今までは個々の家で、「太陽光発電で発電したものは家の中で使えます」「蓄電池があればためて使います」「余れば売ります」ていうようなことがあったかと思います。
ただやっぱり、CO2を削減していかなければならないとか、そういう時代になってきた時に、個々の家だけで余るとか蓄電するとかっていうところでは無く、地域全体で、できたエネルギーを「今は放電したほうが良いんだ」「貯めたほうが良いんだ」「あそこにEV車があるから充電しよう」とか、そういった形の広い範囲でのエネルギーマネージメントというところが今後やっぱり出てくるんだろうなと思います。
そうしないと、送電線網がいま脆弱ですよとかいう話があったりしますけど、単純に太くすればいいって言うだけではなくて、「個々でもうちょっとうまくできるから太くしなくていいよ」とかそんな話って言うのが当然出てくるのかなというふうに思っていますので、今後の社会情勢のなかで、そういった技術というのは非常に大事かなと思っています。
そうなると本当に便利というか、安心して生活できますよね。「個々の単体だけでなく街としてそういう機能がありますよ」と言うと、災害が起きたときでも分け合えると言いますかそういったこともできると思いますし。
当然視野に入ってくると思います。それが、無駄な設備を作らずに低コストでできるとなってきた時に非常に価値が出てくるのかなと思います。